2000年 5月 28日 マルチナ・ナブラチロワが5年半ぶりにダブルスで復帰した。南アフリカのマリアン・デスワードと組んでマドリード・オープンに出場し、準々決勝まで進んだ。元祖マルチナは私も好きだった。若い頃は気性が激しく、試合中に自分をコントロールできなくなることもしばしばあった。歳をとり強くなるとともに感情を自身の中に収める術を会得し、次第に目に見えぬオーラを発するようになっていった。人が成長すると言うのはこういうことを言うのか。私も見習いたいと思ったものだ。
待てよ? そんなに歓迎していいものか? 迷惑だと思っているものはいないのか? ナブラチロワがワイルドカードをもらうことにより、チャンスを逃してしまう若い選手がいるはずだ。その選手たちの心中はどうだろう。ナブラチロワが現役に復帰、これからも引き続きツアーに参戦するというのなら、まだあきらめがつくだろう。対等に闘うライバル選手の一人にほかならない。しかし今のナブラチロワに、さすがにそんな気はないだろう。 私にはナブラチロワがいまさらこんなパフォーマンスをする理由がよく分からない。金も名声もありあまるほど手に入れているはずだ。ほんとに姿を見せたいのであれば、エキシビジョンマッチでもやればいい。十分集客力はあるだろう。少なくともレギュラー・ツアーには出るべきではないと思う。現役の選手たちは金銭的にも体力的にも、ぎりぎりのところでしのぎを削っている。思いっきり飛びつけば取れるボールでも怪我を恐れ、躊躇することもあるだろう。グランドスラムの前であればなおさらだ。そこへ自分のパフォーマンスのために、怪我をも恐れぬ元気いっぱいのレジェンドが参加してきたらどうだろう。とてもフェアな戦いであるとは言えない。 若い選手たちのつぶやきが聞こえてくるようだ。 |
2000年 5月 21日 最近、政界やスポーツ界で分けのわからぬ話がやたら多い。石原都知事や森首相の舌禍問題はあまりに次元が低すぎて、われわれ都民や国民の代表と言うにはまことに恥ずかしい。しかし選んだのはわれわれ民衆だ。選んだ民衆はもっと悪い。じゃあ、他に誰かいるかと言われても、みんな似たりよったり、民衆としては八方ふさがりだ。 まあ政界のことは置いといて、スポーツ界に目を移してみよう。まずは以前にも話した千葉すず問題だ。どうやらこのいじめ問題はうやむやに終わりそうだ。今回の事件で、印象的だったのは、かつて「ふじやまのとびうお」と言われた水泳連盟の古橋氏の言葉だ。「水泳は団体競技だ!」 どうやら、冗談ではないようだ。本人はすこぶるまじめらしい。これでは千葉と歩み寄れる余地はないだろう。朝日新聞天声人語氏いわく、選定基準に「滅私奉公たるべし」の一文を入れるべきだった。ごもっとも。 次は野球、中日の星野監督の審判暴行事件。星野監督が審判に暴行したのは1度や2度ではない。問題にならなかったものを含めれば数え切れない。常習犯だ。もっと始末に悪いのは、本人があの程度のことを暴行だと思っていないことだ。これがテニスだったら罰金どころか、とっくの昔に永久追放だろう。(日本の)野球のルールが未熟であることの証明だ。
テニス界にはこんなみっともないことはないだろう、と思ってテニマガの7月号を読んだら、あった、あった。<喜ぶな!
この理屈は、なんじゃあ〜!皆さん、応援に来て下さいと言うたのは誰や!?テニスは屋外でやるもんやから、最初から雨が降った時のことくらい想定してるやろ。それとも、最初から雨が降った時にはお客さんにはあきめてもらおうと思うとったんかい。それじゃあ、東レPPOの予選決勝は一般客には非公開という、アホ運営と同じやないか、ボケ! はっ、知らん間に大阪弁になっとる。なるほど、吉松氏の気持ち、よう分かる。プロテニス日本やルネサンスが知恵を絞って、なんとかテニス界を盛り立てようとしてるはしから、足を引っ張る奴がおる。私にはどう考えても、日本のテニスを没落させようと企んでいるスパイが、テニス関係者の中にいるように思えてならん。 |
2000年 5月 12日 オーストラリア、バークレーコーチングアカデミーに遠征中の高校選抜チームの写真がバークレーさんから送られてきた。日本チーム、男子は名古屋学院の近藤大生、柳川の末田英ほか8名、女子は二階堂の飯島久美子、樟蔭東の中村藍子ほか8名だ。
左、オーストラリアチーム、右、日本チーム。
わ〜い、中村藍子ちゃんだ! オーストラリアでも人気者? |
2000年 5月 7日 カンガルーカップ 最終日 いよいよ最終日、今回の大会は連日晴天に恵まれ、スケジュールも順調に消化できた。シングルス決勝は11時から行われた。試合はあまりにも予想通りの展開となった。 タナスガーンのストロークは最後までまったく崩れることがなかった。ストロークは足を止めて打ち合えば、すごい球を打つ選手はいっぱいいる。しかし勝負は左右に振られながらのストローク戦で、いかに長く安定した球を打ち続けることができるかによって決まる。先に踏ん張りがきかなくなったのが浅越、試合を通じて打ち続けることができたのがタナスガーンだった。 もう一つ勝敗を分けた大きな要素は精神的な面だ。浅越は試合を通じて相手のサービスを4回ブレークしている。ところがそのうち3回も直後にブレークバックされている。一方タナスガーンは6回ブレークして、ブレークバックされたのは2回だけだ。しかも1回は第2セットの第1ゲームだ。ブレークしたあとキープしなければというプレッシャーをいかにコントロールできるかが重要だ。 ダブルス決勝、浅越/吉田ペアがこれほど圧勝するとは思わなかった。実はデビア/デヴィリアス組のダブルスを見たわけではないが、体格が立派でいかにも強そうだったので、これは簡単に勝てそうもないと単純に思い込んでしまった。しかしパワーでも日本ペアは臆することなく終始相手を圧倒、楽しそうにプレイした。見かけにはよらないものだ。 |
2000年 5月 6日 カンガルーカップ 第4日 今日はシングル準決勝2試合とダブルス準決勝2試合が行われた。センターコートで行われたシングルス1試合とダブルス1試合を観た。晴れたり曇ったりの空模様、昨日よりは過ごしやすい。連休でみんなどこかへ行っているのだろうか、観客の数を数えてみたら200名足らずだ。もったいないなあ。 シングルスはタナスガーンがWTAランキング60位台が伊達ではないことを示した。宮城ナナも勝つチャンスがなかったわけではない。第2セット5−4の時セットポイントを逃し、5−5に追いつかれてしまう。このあと急激に集中力をなくし、ずるずると負けてしまった。少し淡白過ぎる。 明日は浅越しのぶが挑戦することになる。どちらも似たようなプレイスタイルと球質だ。浅越が圧勝するということはまずないだろう。タナスガーンは少々左右に振られてもなかなか崩れない。逆に鋭い切り返しが待っている。浅越がどこまで辛抱強くストロークを続けられるかが勝敗を分けるだろう。 浅越 しのぶ 6-2,6-4 井上 青香 センターコートのダブルスは面白かった。4人が4人とも十二分に持ち味を発揮した。第2セットのタイブレークでは、もっと見たくなったので第3セットにもつれ込むことを期待したほどだ。観客も満足したことだろう。特に4人の中で一番小柄なプラクシャのパワーには、みんな驚いた様子だ。プラクシャは今までワイネ・プラクスヤと読んでいたが、今回ドローの表記もアンパイアのコールもウィーネ・プラクシャであったので、これからはこちらを採用する。外国名の日本語表記はむずかしい。 浅越 しのぶ/吉田 友佳 6-4,7-6(5) ジャネット・リー/ウィーネ・プラクシャ
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2000年 5月 5日 カンガルーカップ 第3日 今日も終日快晴、暑い一日だった。トーナメントが進み、選手が少なくなるとともに観客が増えてきた。明日はもっと増えるだろう。シングルス準決勝には日本選手が3人も進んだ。外国選手は第1シード、タイのタナスガーンのみだ。しかし今日のタナスガーンは危うくスロベニアのティナ・ハーゴールドに負けるところだった。第3セット終盤腰の治療のためメディカルタイムアウトを取った。なんとなく表情も冴えなかった。 明日はすべての試合に日本選手が出場する。近くの方はぜひ応援に駆けつけると良い。 シングルス準々決勝 タマリネ・タナスガーン 6-4,3-6,6-4 ティナ・ハーゴールド
ダブルス準々決勝 デビア/デヴィリアス 6-4,1-6,7-6(5) 井上/井上
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2000年 5月 4日 カンガルーカップ 第2日 半分寝ぼけた状態のベッドの中、なんとなく周りの雰囲気がおかしい。おもむろに時計を見たら、なんと10時半だ。しまった!うっかりしてアラームのスイッチを入れるのを忘れていたようだ。慌てて身支度をし、タクシーに飛び乗った。着いたらどの試合も第1セットが終わろうとしていた。遅刻は会社だけにしたいものだ。<おい 今日はシングルス2回戦に進んだ小畑沙織、宮城ナナ、吉田友佳、浅越しのぶ、井上青香の5人全てが勝ち、準々決勝に進んだ。うれしい。国内で行われる国際大会なのだから日本選手は目いっぱいアドバンテージを生かし、勝ち上がるのが望ましい。しかし残念ながら明日の準々決勝ではこの中から少なくとも2人は消える。日本人同士の対戦が2つもあるからだ。
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2000年 5月 3日 カンガルーカップ 第1日 夜明けとともに起きだし、岐阜のカンガルーカップへやってきた。WTA$50000大会だ。思ったより田舎だったのでちょっと驚いた。会場の長良川テニスプラザはすばらしい設備の岐阜メモリアルセンターの一角にある。陸上競技場、野球場、武道館などが同じ区域内にあり、一大スポーツセンターになっている。広々としてまことに気持ちがいい。 ただテニス会場はセンターコート以外、金網に囲まれているので決して見易くはない。今日はシングルス1回戦16試合とダブルスの予選が行われた。写真も撮りにくかったので、なんとなく集中できず、一日ぶらぶらと観てしまった。たまにはこんな観戦もいいだろう。今日、日本選手で1回戦を突破したのは、小畑沙織、宮城ナナ、吉田友佳、浅越しのぶ、井上青香の5人だ。
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2000年 5月 1日 フェドカップ・アジア/オセアニアグループ予選が終わった。日本はわずか1年でワールドグループへの復帰を果たした。しかし、日本、タイ、インドが3勝1敗で並んだ時には正直、肝を冷やした。やはりかろうじてと言うべきか。このもたつきぶりが今の日本の実力を象徴しているとも言える。これで来年の楽しみが増えた。もしもワールドグループの試合が日本で行われるようなことになれば、それこそ豪華なメンバーが世界から集まってくる。ただ開催のシステムがよく飲み込めていないので、開催地がどこになるのかよくわからない。 フェドカップといえばあの伝説の有明コロシアム、日本対ドイツ戦を思い出さずにはいられない。まさに現場にいて興奮した..というのではない。まったくその反対だ。知人が自分は行けないからとチケットを譲ってくれたのを不覚にも断ってしまったのだ。その頃テニスをすることにも燃えていたので、ついそちらを優先してしまった。夜のニュースを見て、しまったと思った時には後の祭り。その後、あの場面が繰り返しテレビで放映されるたびに、悔しさが限りなく増幅していく。「あの時、あそこにいたんだよ。」とみんなに自慢できないのが残念でならない。チャンスを生かすも殺すも、紙一重だ。 |